ソフトウェア開発の人件費と品質

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http://www.tcs.com/Japan/http://www.oec.co.jp/テレビなどのマスコミがITのアウトソーシングやオフシェアを叫けぶと、人件費の安い中国やインドを思い浮かべ、国内ソフトウェア産業は競争力(特に価格)がないのでは・・・と浅慮な人間やコンピュータに詳しくない人間は考えます。
次の記事はそういった方に警鐘を鳴らすいい事例だとおもいます。

ブルームバーグによると、インドのソフトウエア最大手、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)のラマドライ最高経営責任者(CEO)は、ソフト開発事業の一部を、人件費が安いベトナム、カンボジアに移管する考えを明らかにした。ソフト開発技術者の人件費の安さを武器に欧米企業からの受注を増やしているが、人員不足のためインド国内の技術者の賃金が高騰。相対的に賃金が安い海外への事業移管で競争力を維持することにした。 引用元


人口10億人のインドでも人不足なんですよ!

ITコストを工場の工員を雇うのと同じ人件費で考えている人が多いですが、そういう金額で発注しているとゴミシステムしか手に入りません。(納期に関してはピザ屋の注文と勘違いしているとしかおもえないんですが・・・)
自社に必要なシステムの要件とクオリティを正しく定義する機能が発注側にない場合は、きちんと専門家に必要な費用を支払い、コンサルティングを受けた上でシステム発注をすべきです。部品工場と違って、材料費がありませんからシステム開発は値切ろうと思えば50%引きさせることも可能です。
ですが、受注する側もビジネスですから、50%値引きをしたら50%未満の工数しかかけません。つまり本来でしたらおこなわれたミーティングや、資料作り、検証作業といったものが工程から省かれます。そして、イニシャルのコストを抑える事ができても、後の保守コストは50%値引きどころか50%増しになっていきます。

では発注側はどうしたらリスクを回避できるでしょうか。社内の間接システムの場合と、社外向けサービスの場合で異なります。
社内の間接システムの場合、業務効率改善が最大の課題ですから継続的な保守作業・機能改善が最大の目的になります。ですので、システムがどの程度業務改善をおこなったか評価する枠組みを開発会社と合意し、業務改善指標に基づいた社内コスト削減分を保守費用の一部として還元する仕組みを取り入れます。
社外向けサービスの場合も、サービスによる売上げの一部を還元する仕組み、いわゆるレベシェアを定義することです。
どちらの場合も、開発会社が案件の利益率を向上させようという努力が働く仕組みになっています。特に前者は発注者側が無用な機能を開発・保守する提案を避けるためにも有用です。なにしろ開発会社は費用対効果に責任はありませんので、「この機能がほしい」といわれれば必要な見積もりをだしてつくるだけです。
後者に関してはレベシェアでおこなうことは発注者側にとってメリットは非常に大きいです。売れるかどうかも判らないサービスの初期コストを大幅に削減することができます。ですが、サービスが利益を上げる見積もりを正しくおこなわないと、受けてくれる開発会社はほとんどないでしょう。単なるアイデアで「ちょっとこんなことやってみない?」というレベルでしたら50%程度のレベシェアで提案しないと受けてもらえません。

いまひどいレベシェアの案件を抱えていてアタマが痛いです。本当ならとっくにお断りするものですが、紹介してくれた会社との人間関係上それもできないというとても辛い状況です・・・。うーん。

タタ社をつかった失敗事例がタイムリーに記事になっていました。
青森市6400万電算システム廃棄へ


青森市の新電算情報システム稼働が大幅に遅れている問題で、市が問題解決を図りコンピューターのOS(基本ソフト)を転換したことにより、約六千四百万円を掛けて作ったシステムが未使用のまま廃棄されることが分かった。市は「経費は、事業委託先である(市内の第三セクター)ソフトアカデミーあおもりが負担し、市に実害はない」と説明するが、巨額の費用が絡む公共事業の迷走ぶりに、IT(情報技術)関係者から「お粗末、の一言に尽きる」と厳しい声が広がっている。
市は新システムについて、特定の業者に依存せず各社のソフトを併用でき、コスト削減が可能な「オープン系」にすることを決めていた。
OSは当初、無料配布されている「リナックス」を使う方針で、業務を統括するソフトアカデミーが、戸籍など住民記録分野のソフト納入業者として大分市の「オーイーシー」社を選んだ。また旧システムの住民記録データを、オーイーシー社のソフトに適合させる作業は、インドに本部のある「タタ・コンサルタンシー・サービシズ・ジャパン」社が担当した。
しかし、作業は難航続きで、稼働予定の昨年四月(旧浪岡町との合併時)に間に合わず、事態が迷走する中でタタ社は昨年五月末に事業から撤退、十月にはオーイーシー社も撤退してしまった。ソフトアカデミーはタタ社に、約六千四百万円を支払い済みで、オーイーシー社に対しては損害賠償の責任を求め提訴する方針。一方のオーイーシーは「稼働遅れの主な原因は、アカデミー側の能力不足」と反論している。
一方、市は事態収拾を図るため、リナックスに対するこだわりを捨てて、OSはマイクロソフト社の「ウインドウズ」へと方針を転換。結果として、タタ社が作ったリナックス用システムは廃棄することに。その後、住民記録分野のソフト納入は、旧システムを一手に請け負ってきた大手業者「富士通」が担当することが決まっている。

構図としては下のようになっていますね。
発注者 : 青森市
プロジェクト管理 : ソフトアカデミー
パッケージアプリケーション : オーイーシー
開発作業 : タタ社日本法人

パッケージと開発担当会社の選定が最悪!大分とインドってなんだよ・・・。
しかも、タタ社日本法人は85%がインド人となるとミーティングは片言の日本語と英語ですよね。タタ社が青森や大分の方言を理解できていたとはおもえませんよ・・・。

契約書をミスるとこういう場合でも、タタ社やOECは賠償責任が発生するんだよなあ・・・気をつけないと。

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このページは、noguが2006年1月29日 04:37に書いたブログ記事です。

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