2006年6月アーカイブ

今日は株式のお話です。
マザーズにアドウェイズ [2489]が本日新規公開されました。アドウェイズという会社はJaNetという成果報酬型広告を運営しています。詳細情報

①インターネット(PC)アフィリエイト広告事業
 (PC版)成果報酬型広告システム「JANet」により成果報酬型広告(アフィリエイト広告)サービスの提供を手掛けている。06年4月現在の広告主数は約700、提携Webサイト数は約8万6000。
②モバイルアフィリエイト広告事業
 (モバイル版)成果報酬型広告システム「Smart-C」によるサービスの提供を手掛けている。06年4月においての広告主数は約650、提携Webサイト数は約2万4000ある。
(2) 受託・その他事業
 取引先等から情報システムの作成や構築を受注している。同社が作成・構築したシステムを、取引先に貸し出すことにより、システム使用料を収受している。
 前期の連結売上高構成比は、インターネット(PC)アフィリエイト広告事業54.3%、モバイルアフィリエイト広告事業44.6%、受託・その他事業1.1%。

立花証券の誤発注により140万円公募価格の銘柄が147万円で寄り付いてしまったことでニュース性がありますが、次の2点から分析したいと思います。

1、アフィリエイト業界およびアドウェイズの業績分析
2、アフィリエイト業界でのアドウェイズの競争力

1、アフィリエイト業界およびアドウェイズの業績分析

LinkShareは楽天に買収され、ValueCommerceも業績が不透明なので、ファンコミュニケーションズとして上場しているA8の財務諸表を比較対照にもちいます。

アドウェイズの財務諸表。

回次第1期第2期第3期第4期第5期第6期
決算年月平成13年
3月
平成14年
3月
平成15年
3月
平成16年
3月
平成17年
3月
平成18年
3月
(1)連結経営指標等      
売上高---491,7811,408,8233,499,191
経常利益---1,969100,284465,846
当期純利益又は
当期純損失(△)
---△155,862287,414
従業員数
(外、平均臨時雇用者数)(人)
-
(-)
-
(-)
-
(-)
25
(4)
43
(7)
92
(24)

A8の財務諸表

第2期
(平成12年
12月期)
第3期
(平成13年
12月期)
第4期
(平成14年
12月期)
第5期
(平成15年
12月期)
第6期
(平成16年
12月期)
第7期
(平成17年
12月期)
売上高17,443204,033488,5031,043,6782,304,4214,270,550
経常利益又は経常損失(△)△101,695△114,691△76,37824,741302,753765,882
当期純利益又は当期純損失(△)△49,059△115,101△83,0012,090279,265450,475

アドウェイズの第1~3期のデータがないのは都合が悪いから掲載していないようなので、調べたら第2期の売上げは1億3500万、経常利益700万、純利益500万。第3期の売上げは3億1100万、経常利益2200万、純利益1400万です。

収益

どちらの会社も2年前から売上げ2倍増です。しかし、アフィリエイトの事業形態を考えると売上げよりも経常利益に着目する必要があります。アフィリエイト経営における売上げは、広告主に請求する広告費用です。しかし実際にはメディアを提供してくれたアフィリエイターに広告報酬を支払う必要があります。一般に広告収入のうち、80%がアフィリエイタ、20%がアフィリエイト運営会社です。 そして、この最大の収益源である手数料の20%という料率は高すぎると言われています。今後料率は下降し5~10%まで下がると予想されます。

競合

ネット物販は今後も成長すると予測されていますので、ネット広告費用も増えていくことに疑問はありません。しかし、アフィリエイト運営会社は事業参入リスクが低く、参入コストも安いためライバル会社が大量に出現しています。楽天やアマゾンのようにショッピングモールをもつポータルサイトもライバルになります。また、自前でアフィリエイトを実装しているショッピングサイトもあります。

顧客

顧客の商材を分類すると、「アダルト」、「出会い」、「懸賞」、「美容・健康」、「ファイナンス」です。これ以外の商材も登録されていますが広告報酬や、クリック率、コンバージョン率のため、アフィリエイタが広告を掲載してくれません。「食品・飲料」などは商材として登録数が多いですが商品単価が安く、サイト作りも困難なため登録してもアフィリエイタが相手にしないのです。 現時点では顧客であるショッピングサイトはこの事実に気づいていないケースが多いです。

アフィリエイター( 広告サイト)

アフィリエイター獲得費用は約1000円/人です。8万人アフィリエイターを集めるためには8000万の投資で実現可能です。しかし、実体は1%のアフィリエイターが90%広告成果を発生させている状態です。現状は優秀なアフィリエイタの獲得コストは上がっています。実際問題としてコンテンツに適応した広告を掲載しないと広告効果は低いため、広告に合わせたサイト作りのできる人間の奪いあいです。 そのため、Amazonにみられるようなサイト内容に自動適応した広告掲載手法をとっていくようになると推測しています。

まとめ

今後、アフィリエイト運営会社は増加し、サービス内容での競争が激しくなる。特にアフィリエイト運営専業会社よりも、大規模ショッピングモールや、検索サービスと費用対効果の競争となります。 現在主流の会員制アダルトや、SPAMメールアドレス収集のための懸賞サイトなどの広告費用は頭打ちとなり、物販を中心とした広告費用が成長します。この際、アフィリエイト運営専業会社は他業種に比べて、顧客管理機能を有していないため劣勢です。 現在のネット決済10兆円から、2010年のネット決済予測値17兆円に増加すると予測されていますが、広告費比率が現在より高くなっていくことはありません。また成果報酬型広告の比率が高くなるという理由もありません。つまり、今後4年間で伸びしろは70%しかなく、その中で手数料を下げて競合と競争する必要があります。 今後の業績拡大の見通しは極めて厳しいです。

2、アフィリエイト業界でのアドウェイズの競争力

JaNetはサイト機能としては優れています。私も実装する際に参考にしました。しかし、サイト機能は競争要素のひとつでしかなく、しかも重要は低いです。

商品の質

広告主の質

アフィリエイトサイトの質

この3点が重要な要素です。
広告主のサイトデザイン、商品開発までコンサルティングしていく付加価値を作っていくことが競争力の源泉となっていくのですが・・・。楽天の事例をみても難しいところです。
市場調達した30億円を、現状顧客700社へのサイト改善費用につぎ込むのであれば成長していく可能性があります。1社400万あればサイトリニューアルできますよ。

テレビをボーっとみていたら、

「YahooやGoogleに匹敵する検索エンジンを産学官共同で開発する!」

というニュースがやっていました。

どうせ失敗だ、実用的な成果などできない

・・・と悲観的な、ですが現実的な感想を漏らしていました。興味があるので調査してみました。

結論

プロジェクトの成果管理がされることなく業界関係者の懇談会が3年間続きます。プロジェクト終盤において実用にはほど遠いオープンソースが密かに公開され、価値のない報告書が三菱総研によって作成されます。


記事

「Googleを超えたい」 産学官が次世代検索エンジン開発のコンソーシアム設立へ
発起人にはNEC、NTTレゾナント、角川ホールディングス、国立情報学研究所、シャープ、電通、東京大学、NTT、日立製作所、富士通、みずほコーポレート銀行、早稲田大学などが名を連ねる。三菱総合研究所を事務局として2006年7月に正式にコンソーシアムを立ち上げる。参加予定の企業・団体は38団体あり、設立後も広く参加を募る。  Webブラウザーから実行するインターネット検索だけでなく、情報家電におけるマルチメディアコンテンツの検索や企業内情報の検索、医療・金融など各分野に特化した検索など、幅広い検索技術の開発を検討している。2007年度から約3年で、実用化を前提とした何らかの技術のベータ版を公開する予定だ。
「Google独占にはさせない」--国産検索エンジン開発へ、産学官が一致団結
プロジェクトの名前は「情報大航海プロジェクト・コンソーシアム」。7月設立予定で、国産の情報検索・解析エンジンを開発する。日立製作所やNEC、富士通といった企業のほか、早稲田大学や東京大学などの38団体が参加する。3~5年後の実用化を目指す。 (中略) 「Googleと正面切って戦っても意味がない。Googleがまだ提供していない新しい領域を開拓したい」と情報大航海プロジェクト・コンソーシアム事務局を務める三菱総合研究所 主任研究員の安江憲介氏は話す。
その他の記事(By Google)

動機の不純・成果目標欠如

政府の科学投資の能力を少し分析してみたいとおもいます。

プロジェクトの投資目標はコンソーシアムを作ることではありません。検索業界の人的交流を促進だけが目的ならばもっと低予算でおこなう方法があるでしょう。記事を見る限りでは、

「画像や動画検索・解析できるエンジンの開発」

が目標とされ、その動機は

「海外検索技術の独占を解消するため」

とされています。

国産の検索技術が欲しいという動機が不純です。

LSIやロジックボードなどのハードウェアは設計だけでなく製造工程にもノウハウがあるために、設計図だけ買ってきても生産することはできません。そのためソフトウェアに比して多数の技術者必要になります。

一方ソフトウェア技術は、ソフトウェアの外部インターフェイスを理解できれば内部構造を理解しなくても利用できます。アメリカ産だとかイスラエル産だとかこだわらずに必要があれば買ってくればいいのです。だからこそ、先行したGoogleやYahooが世界を席巻しているのです。

「国産技術を作る」という動機はソフトウェア技術のもつ特性に刃を立てることになります。

まずは、『後発参入者として先行者に追いつく』もしくは『ニッチ分野でトップを目指す』と自らの立場を偽りなく認識すべきです。

で、今回のプロジェクトは『ニッチ分野でトップを目指す』を選択しています。この点でまず戦略判断を行っていますが、この判断の根拠がなくかつ間違っています。私ならば次のように論点設計します。

論点A [メイン分野に後発参入すべきか?]
A-1 先行者のアドバンテージを分析
A-2 後発者のアドバンテージを分析
論点B [ニッチ分野に参入すべきか?]
B-1 ニッチ分野の分析
B-2 ニッチ分野の選択

論点Aを議論しメイン分野に参入判断をした後に、ニッチ分野への参入判断すべきです。

ではコンソーシアムではどのように議論されていたのでしょうか。幸い議事録がネットで公開されていました。(Thanks to Googls!)

「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会 第1回議事要旨 配布資料
「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会 第2回議事要旨 配布資料

第2回の配布資料に着目しましょう。
分科会では競合技術についてリストアップがされています。しかし、そこには知見だけで事実がありません。参加した学識者が「ボクは○○だとおもうよー」と感想を述べているだけです。


あまりの質の低さに読解困難です。またその価値もありません。


こちらの図は言いたい事が伝わってきます。絵を描いた人は優秀な人なのでしょう。ですが、誰が幾らかけてこれ作るのでしょうか? この絵を描いた人はプロジェクトの本質を説明されることもなく、とにかくまとめる作業を命じられたのでしょう。


ここで疑問がわいてきます。

このレベルの議論をGoogle、Overture、Microsoft、IBMが気づいていないでしょうか?

彼らが戦略判断に基づき投資をしなかった分野に投資をするのであれば、投資対効果が大きいが資本リスクが大きくて参入できなかった箇所にすべきです。で、その一番いい方法は、Google、Overture、Microsoft、IBMのアーキテクトを招聘して彼らの意見を拝聴することです。

「国産技術を作る」などと前提を立てしまったことで最も有効でコストの低い方法を放棄しています。

NTTや富士通もビジネスにすることなく社内で研究者を飼い殺しにするのをやめてください。経済産業省も下手に予算をだして延命措置しないでください。社内で活用しない研究者はとっととリストラして、うちみたいなベンチャー企業にも優秀な人材がまわってくるようにしてください。お願いします。

(おまけ)
「公募は事実上リストラ」研究者が労働審判申し立て

48~59歳の主任研究員。生命研は03年、研究テーマを公募。今年5月、応募テーマが不採択となったり、応募しなかったりした4人の研究員に対し、再就職の準備会社や関連会社に移るよう命じたという。

お前らは研究者じゃない!出向しろ。

ソニータイマーは付いてます

ITMedia
「“買ってから1年1カ月で壊れるソニータイマー”など埋め込まれているわけがない。だが、こうしたイメージはなぜか根強く残っている。マーケティング、アフターサポート、製品開発部門を連携させて、とにかくイメージアップを図りたい」

SONYの製品は、「まるで計ったように保障期間が過ぎると壊れる」といわれています。そしてこれは事実です。

最近少し傾向が違いますが、10年ほど前までは家電製品といえば保障期間は1年でした。保障期間内の故障は無料で修理するという期間です。

一般的な家電メーカーでは部品の選定基準に、製品の平均寿命を用います。たとえばテレビでしたら、一日4時間の使用で3650日、1万4000時間の稼動に耐えられる部品を選びます。

近年の家電製品は精密機械ですからどこか1つでも部品が壊れると動作しなくなります。そのため部品の調達はメーカーの信用そのものといっても過言ではありません。

SONYの場合、部品調達は基準は製品平均寿命ではなく保障期間でした。正確にいうならばデザイン優先で、部品信頼性は2の次でした。小型化するためにいままでの半分体積ののコンデンサが必要であれば、その信頼性が半分になっても利用してきました。

その結果として他社と比較してユニークな製品を発表できたのですから、良し悪しといったところです。

コネタ

全部みる

このアーカイブについて

このページには、2006年6月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2006年5月です。

次のアーカイブは2006年7月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。