情報大航海プロジェクト
テレビをボーっとみていたら、
「YahooやGoogleに匹敵する検索エンジンを産学官共同で開発する!」
というニュースがやっていました。どうせ失敗だ、実用的な成果などできない
・・・と悲観的な、ですが現実的な感想を漏らしていました。興味があるので調査してみました。結論
プロジェクトの成果管理がされることなく業界関係者の懇談会が3年間続きます。プロジェクト終盤において実用にはほど遠いオープンソースが密かに公開され、価値のない報告書が三菱総研によって作成されます。
記事
「Googleを超えたい」 産学官が次世代検索エンジン開発のコンソーシアム設立へ発起人にはNEC、NTTレゾナント、角川ホールディングス、国立情報学研究所、シャープ、電通、東京大学、NTT、日立製作所、富士通、みずほコーポレート銀行、早稲田大学などが名を連ねる。三菱総合研究所を事務局として2006年7月に正式にコンソーシアムを立ち上げる。参加予定の企業・団体は38団体あり、設立後も広く参加を募る。 Webブラウザーから実行するインターネット検索だけでなく、情報家電におけるマルチメディアコンテンツの検索や企業内情報の検索、医療・金融など各分野に特化した検索など、幅広い検索技術の開発を検討している。2007年度から約3年で、実用化を前提とした何らかの技術のベータ版を公開する予定だ。「Google独占にはさせない」--国産検索エンジン開発へ、産学官が一致団結
プロジェクトの名前は「情報大航海プロジェクト・コンソーシアム」。7月設立予定で、国産の情報検索・解析エンジンを開発する。日立製作所やNEC、富士通といった企業のほか、早稲田大学や東京大学などの38団体が参加する。3~5年後の実用化を目指す。 (中略) 「Googleと正面切って戦っても意味がない。Googleがまだ提供していない新しい領域を開拓したい」と情報大航海プロジェクト・コンソーシアム事務局を務める三菱総合研究所 主任研究員の安江憲介氏は話す。その他の記事(By Google)
動機の不純・成果目標欠如
政府の科学投資の能力を少し分析してみたいとおもいます。プロジェクトの投資目標はコンソーシアムを作ることではありません。検索業界の人的交流を促進だけが目的ならばもっと低予算でおこなう方法があるでしょう。記事を見る限りでは、
「画像や動画検索・解析できるエンジンの開発」
が目標とされ、その動機は「海外検索技術の独占を解消するため」
とされています。国産の検索技術が欲しいという動機が不純です。
LSIやロジックボードなどのハードウェアは設計だけでなく製造工程にもノウハウがあるために、設計図だけ買ってきても生産することはできません。そのためソフトウェアに比して多数の技術者必要になります。
一方ソフトウェア技術は、ソフトウェアの外部インターフェイスを理解できれば内部構造を理解しなくても利用できます。アメリカ産だとかイスラエル産だとかこだわらずに必要があれば買ってくればいいのです。だからこそ、先行したGoogleやYahooが世界を席巻しているのです。
「国産技術を作る」という動機はソフトウェア技術のもつ特性に刃を立てることになります。
まずは、『後発参入者として先行者に追いつく』もしくは『ニッチ分野でトップを目指す』と自らの立場を偽りなく認識すべきです。
で、今回のプロジェクトは『ニッチ分野でトップを目指す』を選択しています。この点でまず戦略判断を行っていますが、この判断の根拠がなくかつ間違っています。私ならば次のように論点設計します。
論点A [メイン分野に後発参入すべきか?]
A-1 先行者のアドバンテージを分析
A-2 後発者のアドバンテージを分析
論点B [ニッチ分野に参入すべきか?]
B-1 ニッチ分野の分析
B-2 ニッチ分野の選択
論点Aを議論しメイン分野に参入判断をした後に、ニッチ分野への参入判断すべきです。
ではコンソーシアムではどのように議論されていたのでしょうか。幸い議事録がネットで公開されていました。(Thanks to Googls!)
「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会 第1回議事要旨 配布資料
「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会 第2回議事要旨 配布資料
第2回の配布資料に着目しましょう。
分科会では競合技術についてリストアップがされています。しかし、そこには知見だけで事実がありません。参加した学識者が「ボクは○○だとおもうよー」と感想を述べているだけです。

あまりの質の低さに読解困難です。またその価値もありません。

こちらの図は言いたい事が伝わってきます。絵を描いた人は優秀な人なのでしょう。ですが、誰が幾らかけてこれ作るのでしょうか? この絵を描いた人はプロジェクトの本質を説明されることもなく、とにかくまとめる作業を命じられたのでしょう。


ここで疑問がわいてきます。
このレベルの議論をGoogle、Overture、Microsoft、IBMが気づいていないでしょうか?
彼らが戦略判断に基づき投資をしなかった分野に投資をするのであれば、投資対効果が大きいが資本リスクが大きくて参入できなかった箇所にすべきです。で、その一番いい方法は、Google、Overture、Microsoft、IBMのアーキテクトを招聘して彼らの意見を拝聴することです。
「国産技術を作る」などと前提を立てしまったことで最も有効でコストの低い方法を放棄しています。
NTTや富士通もビジネスにすることなく社内で研究者を飼い殺しにするのをやめてください。経済産業省も下手に予算をだして延命措置しないでください。社内で活用しない研究者はとっととリストラして、うちみたいなベンチャー企業にも優秀な人材がまわってくるようにしてください。お願いします。
(おまけ)
「公募は事実上リストラ」研究者が労働審判申し立て
48~59歳の主任研究員。生命研は03年、研究テーマを公募。今年5月、応募テーマが不採択となったり、応募しなかったりした4人の研究員に対し、再就職の準備会社や関連会社に移るよう命じたという。
お前らは研究者じゃない!出向しろ。
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今や検索ビジネス最大のコストは電力だそうな。GoogleもYahooもMSも、土地の安い、川沿いで冷却水も豊富、電力も安いUSの田舎町に巨大な基地を確保・構築する競争をしてるとか。日本の電気代じゃ万一ソフト作れても動かす場所がありません。