官製検索エンジン

以前紹介した 『情報大航海プロジェクト』に対してそろそろ注目があつまってきたようです。
その原因はこの人です。
「Google八分、知ってますか?」眞鍋かをりが“国策検索”アピール
「Google八分、知ってますか?」――薄型テレビや次世代光ディスクが注目を浴びるCEATEC(千葉県幕張メッセ、10月7日まで)会場の一角で、眞鍋かをりさんのこんな声が繰り返し響いている。国産の検索エンジンを開発する経済産業省の研究会から生まれた産学連携プロジェクト「情報大航海プロジェクト」のブースだ。
真鍋かおりさんかわいいですね・・・・じゃなくて、経済産業省もやるものですね。
注目度を確保するために、ネット人気の高い真鍋さんをつかってくるあたりなかなかです。その成果は確実にあがっているようで、ネットウォッチ系(非技術)のBLOG等でとりあげられています。
日の丸検索エンジン 174,000件 (Google)
日の丸検索エンジン 263件 (テクノラティ)
その成果の一つが冒頭にある、日の丸検索エンジンのユーザインターフェイスです。これもネットの有志達によってつくられたそうです。いいですね。「カミカゼ検索」のネーミングセンスが光ります。
このプロジェクトに対する私の所見は以前とかわらないのですが、各記事、Blog、掲示板などの感想を少しピックアップしてみます。
プロジェクトにポジティブ陣営
NTTコム社長 和才博美 (Asahi.com)和才社長は「日本語は特殊な言語で、検索には特殊な処理技術が必要だ。検索エンジンのデータベースも含めて、日本独自の開発を進めることが重要だ」との認識を示した。そのうえで「いまの検索エンジンは知りたい情報にたどり着くのに時間がかかりすぎる」と指摘。利用者のくせや好みを蓄積して情報を絞り込んだり、パソコンや携帯電話など機器に応じて見やすく表示したりする技術が必要だとした。
彼の論点は2つで、「国産技術」、「User Behavior Based Interface 技術」ということになります。
後者に関してですが、今から特許出願が間に合うとおもっているのでしょうか・・・? SONYがこのあたりの特許好きでとりまくってるけど、USの企業がゴロゴロ特許取得している領域に踏み込むのはなかなか勇気がいるはずです。
経済産業省 八尋俊英・情報経済企画調査官 ( 東京新聞 )
有力な日本の検索サイトがなくなる中、“日の丸検索エンジン”開発の旗振り役である経産省の八尋俊英・情報経済企画調査官は「各社の技術力を集約して従来のネットだけでなく、あらゆる情報の検索・解析が可能な技術基盤をつくりたい」と今回のプロジェクトの狙いを説明する。
(中略)
さまざまな機器で米の検索技術が核になれば「マイクロソフトがウィンドウズで市場を独占したことの影響よりはるかに大きい」と八尋調査官は危機感を募らせる。来年度から三-五年後の実用化を目指す挑戦が始まるが、検索技術の進歩が速く「最後のチャンス」(八尋調査官)になるのは間違いなさそうだ。
この八尋さんが、諸悪の根源か技術オンチかなのでしょうか? 経歴を見てみましょう。
東京大学法学部卒
ロンドン大学LSE法律大学院修士号取得
ロンドン市立大学メディアポリシーセンターにてメディア政策論修士号取得
1989年 (株)日本長期信用銀行入行 主としてテレコム・メディア関連の事業コンサルティングに従事
1998年 3月 同行開発金融部調査役にて退職
1998年 4月 ソニー(株)入社とともにコミュニケーション事業進出プロジェクトに参画、ブロードバンドサービスカンパニー 事業企画室長、eコミュニケーション事業部統括部長として1種事業免許申請、ネット関連企業設立・出資に従事 これら業務と兼務で、発案段階から関わったソニー系ブロードバンドコンテンツ配信会社エー・アイ・アイの経営に参画
2004年 常務取締役COO就任
2005年 6月 ソニー退社
2005年 7月 経済産業省入省
2005年12月 次世代の検索・解析の重要性を注視、商務情報政策局長私的研究会として発足した「情報大航海時代研究会」を企画・運営担当。次世代の日本の産業のコアとなる産官学共同研究開発プロジェクト組成に着手
2006年 3月 同研究会中間取りまとめを無事通過、現在はプロジェクト具現化に従事
めちゃくちゃ優秀じゃん!
こんなインタビューもありました。
ソニーを中心として、東急、関電……と大手企業14社出資を集めて設立されたエー・アイ・アイ株式会社(AII)。同社では、CATVのネットワークを武器にスポーツ中継、インターネット映画、デジタル写真集と様々なブロードバンドコンテンツの配信にチャレンジを続ける。ブロードバンド時代を通じてAIIは何を伝えようとしているのか。同社取締役チーフ・ストラテジスト 八尋俊英氏に直接話を伺った。 (取材日:2001年11月6日)
AII http://www.aii.co.jp/ってどんな会社なんでしょう?
画像配信会社・・・なるほど、マルティメディア検索という考えがでるのも納得です。
日経にもインタビューがありました。
ちょうど予算の審議がこれから始まります。どうなるか分かりませんが,100億円も予算が付けば検索エンジンの開発に向けて関係者の雰囲気も一気に変わるのではないでしょうか。日本にも技術力を持ったベンチャー企業はいっぱいあります。こうしたベンチャー企業の技術を利用しつつ,日本発の検索エンジンが そして,Google社のような企業が日本にも生まれてほしいと考えています。
思惑をこえて予算がついているようですね・・・。
八尋さんがどんなひとか一度会ってお話がしたいものです。個人的にはすごく応援したいですね。
プロジェクトにネガティブ陣営
池田信夫 blogIT産業では、「衆知を集めて」大規模なプロジェクトをつくるのではなく、少数の独創的なエンジニアによって迅速にプロジェクトを立ち上げ、失敗したら撤退できるような工夫が重要である。先日の記事でも書いたように、シリコンバレーのベンチャーキャピタルは、結果的にはそういう制度としてうまく機能した。原資産の価値を高めるベンチャー企業と、それを支配する権利(リスク)をもつVCを分離し、失敗したら放棄するオプションをVCがもつことによって、ポートフォリオ全体の(リスクで調整された)価値を最大化するのである。グーグルも、こうした「ダーウィン的競争」で生き残った企業だ。この観点から考えると、政府が56もの大企業や大学などを集めて日の丸検索エンジンを開発することは、きわめてリスクが大きい。多くのメンバーのコンセンサスで開発すると、調整のオーバーヘッドが大きくなり、自律的に実験を行うことが困難になって、技術的なオプションが狭まってしまう。しかも政府に失敗は許されないので、プロジェクトを途中で放棄するオプションもない。他方、それによる規模の利益は、要素技術がすでに極限までモジュール化されているソフトウェア産業ではほとんどない。IT産業におけるプロジェクト管理の常識を無視した計画というほかない
IT技術開発に最大のリスクは設計リスクです。設計リスクには様々なものがありますがここでは、「正しく作っても動作しないリスク (性能不全)」と、「正しく作って機能が需要にこたえていないリスク (機能不全)」この2つです。
どのような優秀な人間をそろえても、設計上の性能不全と機能不全の可能性はついてまわります。失敗の可能性をミニマイズするために必要な時間と資金を費やすことができるとしても、ゼロにはできません。そして、無限に時間と資金を費やしてよい恵まれた開発環境などありません。
ですので、池田さんの言うように、ダーウィン的淘汰によって技術が萌芽する方法は非常に有効な手段のひとつなのです。(僕はまだ芽のでぬタネの1つ・・・)
それはさておき、この「日の丸検索エンジン」で、暗澹たる気持ちになるのはこの開発に携わっている企業や研究機関の面々だ。
座長に東京大学の教授がいて、東大、早稲田、慶応、北大、東京工大、NEC、富士通、シャープ、松下、日立、ソニー、NHK、TBS、毎日放送、電通、NTT、三菱商事、バンダイ、関西電力、富士通総研などなど…ほかにもいっぱいの企業や研究機関が参加している。
私が言いたいのは平たい話、こんなにたくさんの企業や団体でまとまるはずありませんよ、である。
「でもNTTさん全部任せました!失敗したら会社潰してやります」と1社だけにできないもの事実。
VCの投資方向をコントロールできる減税法案をつくったほうがいいのではないでしょうか。
ま、正直なところ3年で300億くらいでガタガタいってもしょうがないという気持ちもあります。
各会社の研究所の検索エンジン研究者を温存するためのつなぎ資金程度なんですから・・・。
asahi.com
実際、グーグルは今年上半期だけで新しいウェブサービスの研究開発費に5億2915万ドル(約625億円)を投入。マイクロソフトも今期の研究開発費65億ドル(7677億円)のうち、「検索分野にはかなり力を入れる」(同社日本法人)と、ケタ違いの開発費を投入している。「日の丸検索エンジン」の先行きは険しそうだ。
真鍋さんのタレント事務所にいくら払ったんだろう?
現状のまとめ
・ プロジェクトの成否は八尋氏の手腕によるところが大きい。
・八尋氏は複数の会社にコネクションがあり、調停能力が高い。AIIという実績もある
・八尋氏は技術畑ではないので、設計不全をおこすリスクを包含している
・検索エンジンの開発予算としてはまったく不十分
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