泥のように働く( by 西垣浩司, 丹羽宇一郎 )とはなにか?

| | コメント(0) | トラックバック(0)

5月28日、IPAが開催したイベント「IPAX2008」で、再び経営者と学生の討論会が行われた

西垣氏は伊藤忠商事の取締役会長 丹羽宇一郎氏の「入社して最初の10年は泥のように働いてもらい、次の10年は徹底的に勉強してもらう」という言葉を引用し、「仕事をするときには時間軸を考えてほしい。プログラマからエンジニア、プロジェクトマネージャになっていく中で、仕事というのは少しずつ見えてくるものだ」と説明。これを受けて、田口氏が学生に「10年は泥のように働けます、という人は」と挙手を求めたところ、手を挙げた学生は1人もいなかった。

この丹羽さんとはどんな人かというと、「無給で働け」発言で有名な方ですが、思想信条からいくと「会社中心型社会」を信望している方で、資本力と組織力を集中させた大企業で人生を送ってきた方の言葉です。丹羽さんの発言を借りるだけ借りて、自分の意見をあいまいにする西垣浩司さんは1999年からNEC社長として、会社の事業を縮退させた実績の持ち主です。

彼らの発言は「一人前になるまで20年は下積みが必要」という内容です。この思想は池田Blogでも指摘されているように、徒弟制度の思想です。

これは伊藤忠の丹羽宇一郎会長の言葉で、このあと「最後の10年はマネジメントを大いにやってもらう」と続くそうだが、これじゃ霞ヶ関の役人と同じだ。若いときは「雑巾がけ」で会社にご奉公し、年をとってから楽なマネジメントで取り返すという徒弟修業型のキャリアパスは、組織が永遠に不変で、自分がそこに定年まで終身雇用で勤務するという前提でのみ成り立つインセンティブ・システムである。

この企業の雇用構造自体に善悪、良し悪しはありません。問題はIT業界という事業に関して、このような雇用構造が適していないという点です。

一人前になるための時間が20年・・・・いまから20年前、1988年のITといったらなにがあったでしょうか?(ちょうど西垣さんが理事になられた年ですね) NECはPC9801やオフコンを売っていた時代です。きっと、このころ泥のように働くってことは「VSシリーズ」とか言って、COBOLでガリガリコードを書くってことですよね。そして、日本の企業にレガシーシステムを大量に撒き散らして負の遺産を残すってことですよね、わかります。で、若い頃にCOBOLを書いていた40代の人間はいまNECでなにをしているんですか? 労働生産性は若い頃よりも増えていますか?

ITに限らず、どんな産業でも大雑把に言ってしまうと作業工程軸と、製品供給軸の2軸で考えると、作業 = {設計、開発、検証、保守}、供給 = { 研究、製造、流通、小売、利用、回収}で分類できるわけです。

 当然だれでも、専門性が高くて希少な上流工程の仕事がしたいものです。下流工程はどんなに優れている人間でも、経営層の施策がマーケットと一致してなければ個人の努力ではいかようにもなりません。例えば、「市場のニーズとかけ離れた製品の営業担当になる」とか、「サポートのための資料やセカンドラインがまったく整備されていない保守部隊に配属される」などです。

また、IT業界は上流の変化や革新が早いので、下流はそれに合わせて常に変化し続けます。つまり、3年かけてある製品の保守作業がやっと一人前にできるようになった頃には、その製品が市場から消えているなんてことがあります。

さて、このような業界で泥のように働く、つまり会社の与えた仕事を疑問を持たずに働くということは、大変危険です。常に自分の仕事が陳腐化しないか、鋭敏なアンテナをたてて仕事をすべきです。なぜなら、経営陣のアンテナが鈍っている可能性もありますし、自分の所属する部署自体がすでに腐っている場合もあります。

IT業界で「泥のように働け」という資格のある会社は、経営陣がすべての部署の未来に対して明るい可能性を持っている場合だけです。NECなんてレガシーごっそり抱えている会社では論外です。

 

で、私は常々思うのですが、IT業界が人不足なんではなくて、日本の企業にITエンジニアが不足しているのです。

 

SIerに案件を丸投げするのではなく、事業の基幹を担うシステムについて社内でマネージする部署を持つことがなにより重要でしょう。

日本の企業は、もっと社内のIT部門を成長させるためにコストを支払うべきです。OJTでIT部門の成長を期待していると、失敗時のロスがでかくてリスクが高いです。そのためにこそ、経営陣は自社の経営戦略の中にInfomation戦略をしっかりと組み込むべきなのです。 

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 泥のように働く( by 西垣浩司, 丹羽宇一郎 )とはなにか?

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://mt.nogutetu.com/mt-tb.cgi/330

コメントする

コネタ

全部みる

このブログ記事について

このページは、noguが2008年5月30日 16:17に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「WILLCOM 03の記事比較」です。

次のブログ記事は「サイト規制 民間の評価会社は天下り組織になるか?」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。