広告費の増大で倒産 アーバンエステート を考察する
昨今多くの会社が倒産・民事再生しておりますが、本日「アーバンエステート」が民事再生法を申請しました。帝国データバンクの倒産情報によると・・・資金繰りが悪くなって倒産とのことです。
急速な営業拠点の開設と従業員の募集に加え、テレビを中心とした積極的な広告宣伝活動から資金繰りは従前から厳しく、支払い遅延が散発するなど取引先の間で警戒感が高まっていた。さらに、近時の金融危機、不動産市況の悪化も重なり販売も低調に推移。こうしたなか、3月末に向けた資金調達も限界に達し、自主再建を断念した。
ライバル企業よりも多く商品を売ろうとすれば広告に頼ることになります。特に不動産のように同じ人が2つも3つも買う事がない商品は、買おうとする人全てにリーチしたいと考えます。そのためには、テレビ、新聞、大衆雑誌などマスメディアを使って広告するのが最も容易な手段です。 しかし、容易な手段であっても、費用対効果の良い手段とはいえません。
広告しなかった場合の売上げ、粗利
10億円、1億円1億円広告した場合の売上げ、粗利
20億円、2億円
広告する場合、「商品粗利分の金額で2倍以上の売上げ増」を達成しなければ意味がありません。規模の経済が効く商品・サービスは必ずしもこの限りではありませんが、普通は売上げ増えれば販管費も増えるので、粗利分の広告費で売上げ2倍+販管費増加分を売り上げる必要があります。
広告しなかった場合の売上げ、粗利、営業利益
10億円、1億円、3000万円1億円広告した場合の売上げ、粗利、広告除く営業利益
30億円、3億円、9000万円 つまり 1000万円赤字
販管費が粗利の7割くらいかかるとすると、3倍売上げが増えても赤字です。
アーバンエステートは規模のみを追求し広告の費用対効果をないがしろにしたために潰れたのです。
なぜこのような自転車操業が成り立つのかというと、広告費の支払いを広告代理店や子会社を使って、決算期を跨いで翌期払いにすれば帳簿上は黒字決算を出すことができるからです。
上の図の例で、広告費1億円を隠してしまえば、営業利益は3倍増です。売上げと利益が増えれば銀行の貸し出し上限が増え、新たに借入が可能になります。借金したお金で繰り越していた広告費を支払い、さらにより多くの広告を出していくというモデルです。
もちろん、上記のような広告の出し方はプロモーション戦略としてはリスクは高いですが、成功すれば大きく成長できるのでしばしば実施されます。
しかし、アーバンエステートの場合、「2個も3個も買う商品ではない」ため、広告効果のストックが発生していません。たかだか1回顧客獲得のためにだけ莫大な広告費を費やしていたわけです。アーバンエステートとしてもこの点は苦しんでいたようで、「60年住宅」と謳い、アフターサポートの保守費用で継続的な収益を得ようとしていたようです。
ネットでは広告の費用対効果が激しく問われますが、逆にいうとアーバンエステートのように売上げだけを追求した広告費の無駄遣いによって自滅する企業が極めて少ないという特徴があるかと思います。
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