似非科学のエンターテインメント
不況の影響なのか、最近荒唐無稽な似非科学の発表を安易にメディアが取り上げる例が目に付きます。
2chでも有名になったが「ベルシオンパワー」で空をとぶ
視察に訪れた航空理論のある専門家は目の前で見ていながら信用せず「どういうトリックを使っているのか」と声を荒げた。
通常の航空理論は機体に備わった両翼の上下間で、機体が直進滑走する際に発生する気圧差により揚力を発生させ、空中へ舞い上がる方式であるからだ。直進速度が落ち揚力が減少すると失速して墜落する。だが眼前の機体は空中停止し、両翼がないのだ。
開発者の鈴木政彦会長は「空気をつかむ、という新しい考え方で飛んでいる。正統な航空理論を学んできた方は自己否定になるため信じないが」と笑う。
“空気をつかむ”とは、両サイドの胴体で空気を逃がさないように空気抵抗を作り“抵抗の反作用で浮く”ことだという。例えば、水泳は水をつかんで後方へ押しやる時の反作用で体を前へ進める。空気中も同じ。空中停止はさながら立ち泳ぎだ。
この会社、よくよく調べてみれば、毎日新聞社が紹介したソフォス研究所の永久機関詐欺と同じ関係者によるものらしいです。
メディアが報道したくなるエッセンスをちりばめてあるのがよくわかります。
- 科学的な説明がつかないが、それは現在の科学体系とは異なる理論があるため
- デモンストレーションで動作するものをみせる
- 特許出願中 (審査請求中ではない)
- 海外からも注目されている
- 専門家がコメントをする
新聞記者は科学の専門家ではないので、専門家の裏づけがあると安易に信じてしまう。彼らほど権威に弱い業種も少ない。
似非科学を発表するほうはなにも全ての記者をだます必要はない、たった一人、どこでもよいので記者をだまして大手メディアに取り上げてもらえればよい。メディアがだまされると、メディアを盲目的に信用している投資家を騙すための格好の武器になります。
新聞社などの大手メディアがこの種の報道をするのは、検証能力が欠けるためだけではない。多少怪しくても、エンターテインメントとして、読者が面白いとおもえる内容であれば報道したくなるためです。
エンターテインメントであれば似非であれ詐欺であれ、物事の実態を正しく伝えるのがマスメディアのジャーナリズムであるのだが、「視聴者・読者が興味を持つか」が優先され、物事の本質を見抜くことをおろそかにしているのでしょう。
先週の東洋経済で取り上げられていた音力発電が、NHK教育のサイエンスZEROで取り上げられていました。題材が「減らせ!エネルギーロス ~ 熱再利用技術~」というもので、前半はペルチェ素子で熱から発電する話でしたが、後半にいきなり音力発電が紹介されはじめました。
ペルチェ素子に対してピエゾ素子を紹介するのは科学的教導番組としてはセンスが良いです。しかし、エネルギーの再利用という観点からいうと音力発電を紹介するのは妥当ではありません。音力発電はピエゾ素子の材料研究をしている企業ではなく、おもちゃを作っているエンターテインメント企業です。このような会社に技術企業の幻影をみせてしまうのでナンセンスです。
ウォーターエネルギーシステムを発表していたジェネパックスも今はホームページを閉鎖していますしね・・・。
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