ビジネス: 2009年8月アーカイブ
シェアリングについて考える機会があったので、備忘録です。
シェアリングは、物品を独りで所有(独占)するのではなく、複数の人でひとつのものを所有(共有)するという概念です。
基本的にレンタルと似ているのですが、異なっている点もあります。
私なりの比較を下記に示します。
| レンタル | シェアリング | 所有 | |
| コスト | 利用時に発生 | 毎月発生(会費) | 購入時に発生 |
| バリエーション | 多種多様。必要に応じて自由に選択 | 多種多様。レンタルよりはバリエーションが劣る | 所有対象のみ |
| 望ましい利用形態 | 不定期に利用。利用毎に要件が異なる | 定期的に利用する。利用頻度が比較的少ない。 | 常に利用できる状態が求められる。 |
| 望ましい商品特性 | 商品価格が高い。特殊な用途に利用される(例:ウェディングドレス、トラック、イベント用音響装置)。 | 所有コストが高い(メンテナンス、保管場所、税金)。日常的に利用される。破損し難い。販売価格と卸価格が乖離している。 | 商品価格が低い。所有に意味がある(愛玩動物、結婚指輪、資格、携帯電話)、生理的に共有できない(靴・下着)、法的に共有できない(妻子) |
所有をせずに、代金を払って利用するという意味では、レンタルとシェアリングに差はありません。両者を隔てるのは、利用料金の体系です。
シェアリングでは会費制を導入しています。極端な定義ですが、会費がないサービスは、シェアリングを名乗っていたとしても、実態はレンタルです。
借りる側からすると、「共同所有だからレンタルよりシェアリングの方が安い」と、認識するかもしれませんが誤りです。
シェアリングが安くできるのは、利用者が定期的に利用することをサービス会社に約束することで、継続的な顧客獲得のためにPRコストを低減できるのが理由です。
ですので、シェアリングがレンタルより優れているかというと、そんなことは全くなくて、サービス提供会社視点で、シェアリングの会費制モデルが望ましく、小規模事業者でもコスト削減しやすいので、レンタルより低価格で参入する会社が多いわけです。
また、社会的に着目されているのは、所有をやめて、会費制のレンタルで補う人々が増えてきた点ですね。これまでは所有に意味があるとされていた、別荘、自動車、高級ブランド品などがシェアすればいいよって話ですからね。
なにしろ、普遍性のあるシェアリングは、行政サービスで実現しています。図書館なんて行政シェアリングの良い例です。
つまり、ビジネスイノベーションの源泉は、「レンタルからシェアリング」ではなく、「所有の利便性を損なわないレンタルサービス」を実現することです。(TSUTAYAのポスレンなんて頑張っていますよね)
なんにしても所有しないで必要なときに借りて使うのは、エコノミーで、エコロジーでいいですよね。
お茶の間留学・・・というとNOVAを思い出します。
家にいながらテレビ電話をつかって英会話の授業を受けられるというのは便利です。
もっとも、NOVAのお茶の間留学は、遅くて高いISDNやテレビ電話を使っていたため、インフラ構築にお金がかかってビジネスとしては失敗しました。
昨今では、SKYPEを使い、インフラ構築にコストのかからないネット英会話教室が流行っています。
その中でも価格破壊を実現したのが、レアジョブです。
25分129円
これは魅力的な価格です。毎日使っても4000円足らずです。
レアジョブの価格の秘密は、講師にフィリピン人を使っている点です。日本とフィリピンの物価格差を利用し、格安でサービスを提供できるわけです。
一応フィリピンでは英語は公用語ですが、実際にはフィリピン語(タガログ語)がネイティブな言語で、イントネーションや発音などに癖があります。ですので、「生きた英語」、「日常会話」を重視している人、応用力を磨くのに向いているのだと思います。
もちろん、きれいな発音で、教えるのがうまい先生もいるようですが、予約がとりにくいそうです。
若干気になるのが、講師に女性が多い点ですね。ヒアリングしやすさでは男声よりも、女声のほうが周波数が高いため聞き取りやすいのですが、もしかして、フィリピンバーでモテモテになりたいおじさん向けなのか・・・?
SKYPEだと、講師と生徒のやりとりを監視するのが難しいという問題点があって、授業の質の担保できるかどうかがサービスとしての課題です。まあ、そのあたりは講師の管理をしっかりしているようなので、現時点では悪くないようですね。
さて、ビジネスの戦略的な課題を少し考えてみたいと思います。彼らのビジネスには、大きく分けて2つの課題があります、競合の参入と集客です。
レアジョブにとって一番の課題は競合の参入です。
インフラ投資が安くできるのがレアジョブの利点ですから、当然競合が参入しやすい。事実、すでに2社はレアジョブよりも安い価格で参入してきています。
グローバルネットアカデミー 25分 119円
One Step 1ヶ月間 4000円
では、レアジョブも2社に負けないように価格競争をしていくか・・・というとそんなことはないでしょう。1ヶ月5000円を切る価格であれば、利用者からしてみれば十分に安い。これが3000円をきったからといって、競争に負けはしません。
競合に勝つ最大のポイントは、利用者の満足度を高め、継続率および顧客単価を高めていくことです。つまり、「本当に英語の会話実力がつき」、「よりたくさんレアジョブを使いたい」という状態を作りだすことが、ビジネス成功への鍵となります。
従来型英会話教室のビジネスモデルが、「たくさんの人を入会させて、講師は少ししか雇わない」のと比べてきわめて健全です。利用者の声にきちんと耳を傾けていれば、レアジョブのサービス品質はあがっていくことでしょう。
僕個人としては、毎日利用するのは忙しくて無理なので、チケット制を導入している@Englishの方が、魅力的にみえます。25分1500円で10倍以上の価格ですが、4000円払って2-3回しか利用しない可能性も高いので、課金会員化する心理障壁が低いです。
もうひとつの課題が集客です。
なにしろ認知度が低い。口コミでは限界があります。2009年4月時点で会員8660人(おそらく累計登録会員)
じゃあ、テレビCMでも打ちますか!・・・・というわけにいかないのがレアジョブの苦しいところです。
顧客単価が1ヶ月5000円、講師の取り分が仮に50%とすると、1万人利用者がいて月額粗利が2500万円。最盛期のNOVAと同じ会員数の40万人で10億円。
インフラコストが0円とはいえ、サポートコストはかかるわけだし、40万人も利用者がいたら講師もウン万人単位で必要になってきます。イメージ的には家庭教師派遣業と同じ構造になりますね。
あー、うー、ちゃんと資料つくって分析しないで、ざっくり感で、月間広告費5000万円、月間5000人新規獲得、会員数3~7万人くらいがレアジョブのネット広告での集客臨界点かな・・・。これ以上を目指すと、雑誌・新聞・テレビなどのレガシーメディアに広告だしていく必要がでて、顧客獲得単価が悪化していくでしょうねー。
蛇足ですが、現時点で9000人近く生徒がいるってのも若干疑問があります。おそらく累計登録会員です。お試し無料会員を含んでいるかもしれません。
なぜなら、予約状況をみるとアクティブな講師が400人程度で、予約の入っているコマが2000コマ以下です。つまり、アクティブな生徒は2000人程度かな。
個人的には、50分800円でいいから、チケット制でやってくれるとうれしいなあ。
