社会: 2007年2月アーカイブ
伊野部家の一日には絶望した。
知らない人がほとんどだと思いますが、イノベーション担当大臣という方が世の中にはいて、イノベーション25という戦略会議が開かれています。(官邸と内閣府のぞれぞれで、ほぼ同じページがあります・・・情報マネージメント能力の高い美しい組織ですね。縦割り行政万歳!)
ところで、『イノベーション』とはなんでしょうか?
Wikipediaによれば、
イノベーションとは、新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。
イノベーションの例:
内燃機関 → 蒸気機関車、自動車
半導体 → パソコン、インターネット
ヨーゼフ・シュンペーターによれば、
- 新しい財貨の生産
- 新しい生産方法の導入
- 新しい販売先の開拓
- 新しい仕入先の獲得
- 新しい組織の実現(独占の形成やその打破)
と、技術以外の要素も含みます。
ところが、日本でイノベーションとは技術革新と翻訳されているように、「なにか素晴らしい技術と組み合わせた新しいもの」と捉えがちです。これには明確な理由があります。シュンペーターの提唱しているイノベーションは、いわゆる「KAIZEN」などの概念として企業の日常業務として浸透しており、言葉より先に概念が通態化しているからです。(これは大変画期的なことです)。
誰がはじめたかは定かでないですが、インテルのCPUなどの商品開発を事例にイノベーションという言葉を、MOT(Management Of Technology)あたりの概念とセットで紹介された本がゴロゴロしています。そのため、企業的には「特許知財価値」を生む技術革新をイノベーションと考えている向きがあります。
回転寿司もイノベーションです!
で、話をイノベーション25に戻しましょう。
こちら資料「イノベーション25」中間とりまとめ(平成19年2月26日)では、安倍総理のお言葉が一部引用されています。
「私の言う『イノベーション』とは、単に技術革新だけではなく、新しいアイデアや仕組み、ビジネスプランを含め、広く社会のシステムや国民生活などにおいて、今までとは違う取組みにより、画期的・革新的な成果を上げることなので、その考え方を徹底してほしい」、「技術に追われて、日々の生活や心にゆとりが無くなってしまうようなものでは困る」
・・・・メッセージが曖昧ですね。これは要約が必要な発言です。
- 基本は技術革新
- シュンペーターの提唱する技術以外のイノベーションも検討範囲
- 経営(利益)第一主義となるようなイノベーションは検討範囲外
ああ、すっきりした。
会議構成メンバーをみるとアート引越しセンターの社長さんが加わっています。このあたりに非技術のイノベーションを配慮している様子が見て取れます。・・・が、基本的に技術畑の人ばかりです。
会議の構成メンバー
- 黒川 清
- 江口 克彦
- 岡村 正
- 金澤 一郎
- 坂村 健
- 寺田 千代乃
- 薬師寺 泰蔵
で、この人たちの会議の中間結果のとりまとめが伊野部家の1日ですか?
未来予測を精度よくやったって価値がありません。せいぜい新聞の片隅を埋める記事や、Blogのネタに使うくらいです。
イノベーションが人々の生活を良くする→だからイノベーションを推進する。
私はこの考え方嫌いなんですよ。
飢えと寒さと恐怖がなければ、生活に必要なものは信頼とちょっとした刺激くらいです。10年の快楽のために、その後30年にわたる飢えがくるのであればそんなイノベーションはいりません。
で、こういうときに私が考える軸があります。
絶滅回避
これこそが技術革新として価値のある目的だと思っています。
どれほど進歩しても絶滅しては無価値です。生き延びることこそが、人間が技術を獲得した本来のあり方です。
投資できる資源は有限ですので、絶滅回避技術の研究がタイムリミットまでに到達できるようにしてほしいものです。
このあたりをネタにSF小説でもつくって啓蒙活動したほうがいいのかもしれません。
